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福岡県議会議員 吉村 敏男(よしむら としお)
【飯塚市・桂川町(嘉穂郡)】
タイ王国福岡総領事館10月めどに開設決定
地方議員外交で最大の成果
タイ国政府の公式機関として1990年代初めに本県に設置された二ヶ所の事務所が、2016年1月のタイ国政府観光庁福岡事務所の閉鎖に続いて、タイ国政府貿易センター福岡事務所が3月に閉鎖予定となったことから、わが会派は、同年2月の定例県議会の代表質問に於いて、「この際、両事務所の再設置ではなく、総領事館の開設を目指すべき」として知事の考えを質し、本県にタイ国の総領事館の開設を実現する取り組みが動き出すことになりました。
現在、タイ王国は東京に大使館、大阪に総領事館があるのみで、開設が実現すると三番目となります。本県には、1952年に開設されたアメリカ領事館を始め、韓国(1966年開設)、中国(1985年開設)、オーストラリア(1992年開設)、ベトナム(2009年開設)の総領事館があります。総領事館開設の効果を、2009年4月22日に開設されたベトナムとの関係で見ると、
ベトナム総領事館設置後の状況(福岡県との関係)
(1)ベトナムからの入国者数の増加(9.23倍)
2008年 1,734人 → 2016年 16,002人
(2)在福岡ベトナム人の増加(13.45倍)
2008年 600人 → 2016年 8,070人
(3)留学生の増加(54.61倍)
2008年 71人 → 2016年 3,877人
※総領事館の支援:ベトナムでの留学説明会開催に当たっての情報提供、助言
(4)貿易額の増加
〇輸入額の増加(2.04倍)
2008年 466億1,999万円 → 2016年 951億3,519万円
〇輸出額の増加(4.00倍)
2008年 274億9,330万円 → 2016年 1,099億8,487万円
(5)ベトナムへの進出企業の増加(2.22倍)
2008年 9社 → 2016年 20社
※総領事館の支援:ベトナム政府機関、経済団体等の本県訪問にかかる調整
ベトナムへ訪問する行政、経済団体等への助言、情報提供
(6)大学等友好提携の増加(校数6倍、件数5.4倍)
2008年2校、5件→2016年12校、27件
※総領事館の支援:ベトナムの大学に関する情報提供、友好提携に関する助言
(7)県内高校生のベトナムへの修学旅行実施
2008年 0校 → 2016年 7校、1,646人
以上のように、わずか8年間で本県とベトナムとの関係が拡大強化されてきたことがわかります。
しかしながら、総領事館の設置に関する事項は、国対国の協議事項であることから、進展が見られませんでした。
しかし、私が2009年5月から会長を努めるタイ議連は、バンコク都議会との友好親善協定を締結した、この11年間の間に、相互訪問や、10台の消防自動車を贈呈するなど着実に交流の実績を積み重ね、信頼関係を築いており、この行き詰まった状況を打開するため力を貸し汗をかいてくれたのが、バンコク都議会の元議長複数や軍政による任命制の現都議会の副議長でした。
このルートから急速に展望が開け、昨年2月22日にはドーン外務大臣、5月29日と30日には現在のタイ国の軍政の中で政権を動かしているソムキット副首相とタナサック副首相に面談し、総領事館設置を強く要望しました。
そして、さる9月12日、タイ王国から要請を受けて県内企業39社(全国で約500社参加)と共に参加した、タイ東部経済回廊計画(EEC)経済ミッションの折の会談において、ソムキット副首相からは「なるべく早く実現させたい。今朝、外務副大臣に、手続きを早く進めてくれと伝えた」、ドーン外務大臣からは「福岡に総領事館を作ることを進めていきたい」と、極めて前向きの発言を得ることができ、総領事館の福岡県への設置が大きく前進することになりました。
そして、今年2月8日から来福したソムキット副首相からは、今年10月頃をめどとする総領事館開設が正式に表明され、その折、2年前に撤退した貿易センター福岡事務所の再開と、また、急遽ソムキット副首相に合流したタイ国政府観光庁のユタサック総裁からは福岡事務所の8月再開が発表され、県議会やタイ議連として、これまでの努力が実を結び、大きな大きな成果を得ることができました。
平成30年3月12日 福岡県議会2月議会 一般質問
答:県議会におかれては、バンコク都議会との友好提携に基づく交流の積み重ねや、それらを通じて培ってこられた人脈を活かしていただき、タイ政府に様々な働きかけを精力的に行っていただいた。
樋口議長をはじめ総領事館設置に関わってこられた歴代の議長、吉村タイ友好議員連盟会長、そして県議会の皆様の御熱意と御尽力に対し、改めて敬意を表し、感謝申し上げる。
答:とりわけ、昨年2月にドーン外務大臣との、また、5月にはソムキット副首相、タナサック副首相との会談を実現していただいたことが、総領事館設置を大きく前進させるきっかけになったと考えている。
答:これらの一連の取組みを通じて、総領事館設置の鍵を握るタイ政府の要人に対し、県議会の皆さんと一緒に直接訴え、また、福岡県の潜在力をアピールすることができたことが、タイ政府による総領事館設置の意思決定を加速させたものと考えている。
問:東部経済回廊(EEC)投資開発計画への県内企業の参加について
答:昨年9月に実施されたタイへの政府経済ミッションでは、県からの働きかけによって、参加団体のうち、福岡県からは最多の39社が参加し、福岡県の熱意をタイ政府に示すことができた。
答:また、先月、ソムキット副首相の来福にあわせて開催されたタイ経済セミナーには、タイ政府の想定を大きく超える、約800名が参加した。
このセミナーで、参加者アンケートを実施したところ、「タイへの投資計画がある、または投資を検討している」と回答した企業が37社あった。
答:今後、タイの制度整備状況も見ながら、タイへの投資意欲のある企業を対象とした、本県独自の経済ミッションを派遣するとともに、タイ政府投資委員会(BOI)を招いて投資セミナーを開催することを検討する。
問:タイ王国総領事館の開設によって期待される相互交流拡大について
答:総領事館は、自国民の保護、査証の発行はもとより、自国の広報、相互理解の促進、経済・文化交流活動などを行っている。
答:ご質問にあったベトナムについては、総領事館の開設を契機に、相互に人の往来が増え、留学生や在留ベトナム人が飛躍的に増加するとともに、貿易や投資の額も大幅に拡大している。
答:このため、総領事館が設置されることによって、タイから本県への観光客や留学生、本県からのタイへの訪問者双方ともに大幅な増加が見込まれ、人的交流が一層活発になるとともに、貿易や投資といった経済交流、更には文化交流の拡大にもつながっていくものと考えている。
問:タイからの誘客に向けた九州観光のPRについて
答:総領事館の開設やタイ国政府観光庁福岡事務所の再開により、相互交流の拡大が期待できることから、九州観光推進機構は、九州各県協力のもと、九州の魅力やモデルコースを紹介する「KYUSHU TOURISM MAP」のタイ語版を作成することとしている。
答:さらに、本県においても、現在のタイ語の観光パンフレットの見直しを行い、タイの人たちが興味を抱く日本食、日本酒、花、フルーツ狩り体験のほか、タイのドラマの撮影スポットなどに関する情報を充実させた、新たな観光パンフレットを作成したいと考えている。
答:新年度からは、タイで開催される展示会や商談会でこれらの観光パンフレットを活用し、九州の魅力をしっかりPRしていく。
問:八木山バイパスは3時間以上に及ぶ長時間の通行止めが頻発し、車による移動で最も重要な定時性が確保されていません。
こうした問題を解決するためには、八木山バイパスの早期の4車線化が必要との立場から、平成28年12月、関係する議員で構成する福岡県議会八木山バイパス4車線化議員連盟を結成し、私が会長に就任。
この間、平成29年1月と7月に北九州国道事務所長を始め、国土交通省の事務次官や審議官、道路部長に対し、早期着工を働きかけてきました。さらに今年2月19日には九州地方整備局の増田局長に対し、陳情行動を行なうなど精力的な活動を行なってきました。
今議会で知事は、「利用しやすい料金水準で、4車線化の費用を利用者に負担してもらうことは一定の理解が得られる。有料道路制度の活用も含めて国土交通省に対し働きかける」としており、この知事の積極的答弁は、心強い限りです。
この方向性は地元の関係首長の間でも共通認識が定着しつつあるとの話もお聞きしているところであり、先に進めるための好機であると考えます。
八木山バイパスは元々自動車専用道路として供用されたため、事故等の場合に逃げ道がないなどの弱点があり、これまでも4車線化に併せ、筑穂ICと穂波ICのフルインターチェンジ化を強く要望していますが、これが実現すれば、利用者の利便性の向上だけでなく飯塚地域での大きな懸案である国道201号と国道200号が交差する弁分交差点の混雑解消にも大きく寄与すると考えます。
有料道路制度の活用も含めた八木山バイパスの4車線化の検討にあたって、利用者の利便性の向上や地域の交通課題の解決の観点から、両インターのフルインター化を検討すべきと考えますが、知事の所見をお尋ねします。
答:八木山バイパスの「穂波西」と「筑穂」の2つのインターチェンジは、福岡方面への入口、福岡方面からの出口しかないハーフインターであるために、道路交通上の様々な課題がある。
答:このことから、県ではこうした課題も含め、これまでも国との間で幅広く意見交換を行ってきたところである。
その結果、これら2つのインターチェンジを両方面への乗り降りが可能となるフルインターにすることは、
①利用者の増加、
②降り口の増設により途中退出が可能となることで、事故発生
時の長時間の立ち往生が減少、
③複数ルートが選択可能となることでの交通の分散といった、利用者の利便性の向上や周辺地域の渋滞の緩和に有効な施策であると考えている。
答:このため、県としては、早期整備促進が可能となる有料道路制度の活用を含め、4車線化及びフルインター化について、県議会の皆様と力を合わせ、国土交通省に対し強く働きかけていきた
いと考えている。
今年34回目を迎える飯塚国際車いすテニス大会は、5月14日から19日の日程で開催される予定です。その車いすテニス大会の男子シングルスの優勝者に天皇杯、女子シングルスの優勝者に皇后杯が贈られることを3月13日に宮内庁が発表し、前田会長を始め関係者の皆様の喜びはひとしおと思います。おめでとうございます。
その車いすテニス大会が開催される会場の内、県営筑豊緑地テニス場は、新設した2面のテニスコートに常設の観覧席を設けましたが、メイン会場の市営筑豊ハイツテニス場は大会毎に仮設観覧席を設けて、費用も莫大でした。今般、飯塚市が計画している常設観覧席の整備に県費補助を行うための予算37,500千円が、今県議会で可決されました。今年の大会が終わり次第着工される見込みです。
2 事業概要 テニスコート観覧席・日除けシェルター設置工事
3 事業費 75,000千円
4 補助金額 37,500千円(補助率1/2)
2月26日から3月28日までの日程で開催された二月定例県議会は、平成30年度一般会計予算など96議案を可決し閉会しました。
1.2018(平成30)年度当初予算のポイント
(1)2018(平成30)年度予算:1兆7,325億円(前年度比116億円、0.7%増)、一般会計歳入歳出規模2年ぶりの対前年度増加。
(2)財政改革プランの目標達成状況については、「九州北部豪雨」災害の復旧・復興対策により、目標達成が厳しいものとなっています。
2.「2月補正予算」並びに「2017(平成29)年度確定予算」
「2017(平成29)年度」の「2月補正予算」は268億400万円余で、以下の項目が計上されました。
●豪雨災害復旧・復興対策費 57億3,200万円余
●防災減災対策費 155億4千万円余
●農林水産業の競争力強化費 33億2,500万円余
●子育て支援、福祉の充実費 15億8,200万円余
●地方創生の推進費 6億2,500万円余
なお、その後、最終補正予算として、年度内に措置する必要がある経費の補正として△295億4,000万円となり、これにより、本県の「2017(平成29)年度一般会計」の確定予算は1兆8,262億7,900万円余となりました。
去る1月20日、忽然として御逝去された、嘉麻市選挙区選出、吉原太郎県議会議員の御遺徳をしのび、2月26日に開会された県議会定例会において、議会を代表し、私が追悼演説を行いました。
吉原先輩は昭和62年4月の初当選以来、八期30年余の長きにわたり議員を務められ、この間、県議会議長や数々の委員会委員長を歴任された他、医師としての専門的な知識を存分に生かし、県民の医療や福祉の向上、筑豊地域の鉱害問題や失業者対策、JR篠栗線の電化、県消防学校の地元への誘致など、県政の重要課題の解決に当たられました。
私は先輩とは所属会派を異にしていましたが、同じ旧筑穂町出身で、高校の先輩後輩の間柄であったことから、本当にかわいがっていただきました。豪放らいらく、シャイで優しくて、県議会の御意見番で人情家。本当に県議会として地元として、大きくて大切な政治家を失いました。
吉原太郎先生、お疲れさまでございました。どうぞ安らかにお眠りください。
PHOTOGRAFFITI