9月14日、現地視察(写真左から2番目が小川知事、4番目が斎藤市長、私)
飯塚産廃訴訟住民側勝訴

 飯塚市内住地区の住民が、同地区にある産業廃棄物処分場(安定型)に埋められている違法廃棄物の撤去を求めた「義務付け訴訟」で本年7月3日、最高裁は、福岡県側の上告を「憲法違反などの上告理由に該当しない」と退け、処分場に違法に搬入された有害廃棄物の撤去を求める住民側の訴えを認め、「生活環境の保全に必要な措置を講じるよう」県に義務付けた福岡高裁判決が確定しました。


11年に及ぶ訴え、問われる県の姿勢

 この処分場は1985年に操業を始め、経営者が変わり、安定5品目のみを処分できる「安定型産業廃棄物処分場」として変更許可された2001年頃から、周辺に悪臭や黒い汚水が流出し、違法産廃の搬入も度々目撃され、住民が保健所に訴えました。その結果、基準値を超える有害物質が確認されたことから、2002年県は改善命令を出しました。しかし、違法産廃の搬入はその後も続き、2004年に福岡地裁飯塚支部で操業停止の仮処分は認められたものの、廃棄物は放置されたままで改善は一向に進みませんでした。その後、2005年に行政訴訟法が改正され、当事者以外にも訴えの資格が拡大されたことから、住民側は同年に福岡県を相手に提訴しましたが、2008年の一審では「違法産業廃棄物の存在は認めたものの直ちに健康被害の恐れはない」と敗訴しました。しかし、2011年の二審の福岡高裁判決では、処分場の調査で地下から基準を上回る鉛が検出されたことから、「住民の健康に損害が生じる恐れがある」と判断、「県が業者に産廃を除去するよう措置命令をださないことは違法」として住民が勝訴。二審判決後、住民側の上告取り止めや業者への改善命令の発出についての度重なる申し入れに対し、県は「過去に指導しており違法性はない」として何らの改善措置を取ることなく上告しました。これは、産廃の違法投棄を県が放置したことにより、住民が長年にわたり、生活環境の悪化に悩まされ、精神的にも、体力的にも、裁判費用の面からも苦難を強いられたことを考えると、県民無視の誠に遺憾な対応と言わざるをえません。


産廃問題に無関心だった麻生前県政・県議会は上告取り下げ決議

 この問題が発生して以降、私や我が会派は代表質問や一般質問において幾度となく取り上げ、県の責任を質してきました。特に2011年2月7日の福岡高裁での住民側勝訴の判決後は民主党、県政クラブの代表として私が提案した「旧筑穂町の産業廃棄物処分場の問題に関する決議」において「違法な廃棄物の存在は争いがたい事実」として、ほぼ全会派(1名反対)の圧倒的賛同を得て、県の上告取り下げを決議しました。しかし、経済産業省出身で「経済発展には産廃捨場は必要(違法に産廃を処分することが問題なのですが…。)」との立場の麻生前知事は、「直ちに被害はない」と裁判で決着をつけることに固執。この知事の姿勢は県内の他の産廃問題に対する県の対応を見ても、私たちの目から見ると麻生前知事は水素やバイオなどの産業政策には熱心だが、産廃問題にはまるで無関心と映りました。廃棄物処理法は「住民の生活環境に支障が出たとき、知事は産廃を除去する措置を命令する権限がある」と規定しており、県の完敗ともいえる今回の最高裁判決は知事の権限でできることを裁判でしかその可否を判断しない無責任な姿勢として厳しく問われなければならないと思います。


不正処理の有無を確認するための調査
 廃棄物調査(13カ所)

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現地調査に1億6千3百万円計上

 小川知事は最高裁判決後の記者会見で「最高裁の判断まで時間がかかったことを心苦しく、申し訳ない」と住民に対し初めて謝罪し、7月20日開催された第1回の専門家会議では、傍聴した住民の意見を聞くように指示すると同時に現地のボーリング調査では当初、調査箇所は7ケ所でしたが、「それでは不充分」とする住民の指摘に対し、調査箇所を13ケ所に増やすなど、遅きに失した所もありますが、そのための費用として九月県議会の補正予算では「飯塚市の最終処分場に係わる措置命令の内容を決定するための調査等に要する経費」として1億6千3百万円が計上されました。これは過去の環境部の予算としては極めて異例の措置です。9月初旬からボーリング調査が開始されていますが、私たちは徹底した調査が行われるよう厳しく監視しなければなりません。


知事、初の現地視察。本県産廃行政の大転換を求める

 こうした中、9月14日の九月定例議会初日、小川知事は私たちが強く求めて来た内住の産廃処分場を初めて視察しました。今、県内各地で産廃処分場をめぐる問題が発生していますが、今回の現地視察は、「県民幸福度日本一」を政策目標として揚げる知事が、過去の本県の産廃行政を転換し、県民の思いに寄添う姿勢を示した大きな節目となる行動として評価できます。今後の知事の本県産廃行政における積極的関与を期待したいと思います。


違法廃棄物が確認されれば全量撤去を!

 ボーリング調査の結果、違法産廃の投棄が確認された場合、業者に撤去の全責任があり県は全量撤去の措置命令を出すことは当然です。しかし、業者がすでに倒産している現状を考えれば、これまでの住民の切なる願いを無視してきた大きな責任もあり県が行政代執行を行なうべきです。
知事は、「ボーリング調査に基づく必要な措置命令は今年度末までに行う」と答弁していますが、それでは余りに遅すぎます。住民の不安を一刻も早く取り除くため、1日も早く、結果と対応策を示すべきです。そのため、今後も全力をあげ、本会議や委員会の場で質していきます。


 

九月議会代表質問の要旨本県の産廃行政について(質問骨子)

Q1 知事も先日、現場に行かれたようですが、県の敗訴が確定したことを受け、飯塚市内住地区の処分場問題について、知事がどのような所見を持っているのか。また、とりわけ地元住民の方々に対しては、どのような思いを持っているのか、お聞きする。
A 最終処分場と周辺環境の状況、さらに現在実施している現地調査の内容を確認するため、現地へ行きました。
地元住民の方々には平成13年以来ご心配をおかけしています。また、最高裁の判断まで長期間を要し、心苦しく、申し訳ないと思っています。
確定判決を真摯に受け止め、処分場の現状に対応した措置命令をできるだけ早く発出することが何より重要だと考えています。

Q2 住民が司法に訴えなければならないという、これまでの産廃行政を、どのように改善していくのか、知事の考えをお聞きする。
A しっかり対応を行ってきたと考えていますが、この処分場に関しては初期の業者に対する指導や住民の皆さんと意思疎通が十分でなく、不信感につながり、訴訟に発展したと考えています。
産廃行政については、これまで環境部門の組織強化を図り、専門性、機動性の確保を図ってきたところであり、この機能を十分活用して、問題の早期発見、早期対応のための監視指導の強化や住民の皆さんに対する説明等、適切に対応します。

Q3 第1回の「調査専門委員会」は公開の場で行われ、事務局の説明に対し、委員長が住民側に意見を求める場面もあったと聞いているが、今後もこうした公開と住民参加が保障された委員会運営を行ってもらいたいと考える。このことについて知事がどのように考えているのかお聞きする。
A 今後の調査専門委員会で、措置命令の内容に触れない場合を除き、原告住民及び代理人の方には傍聴していただくことも考えています。
調査を行っていく過程で、機会あるごとに原告等住民の皆さんに丁寧に説明を行っていきます。

Q4 「調査専門委員会」は、いつ頃までに、どのような結論を得ることを見通し、設置したものなのかお聞きする。
A 調査専門委員会は、措置命令を発出するための技術的、専門的な調査内容や改善方法を議論するために設置しました。
今回は、処分場全体の状況をしっかりと把握するため、かなりの数のボーリングや多岐にわたる調査を行いますので、相当の期間を要します。
調査結果を分析、検討し、なんとか年度内に措置命令を発出できるよう議論を終えたいと考えています。

Q5 現地調査の結果、「安定5品目」以外の違法な廃棄物が埋め立てられていることが確認された場合、どのように対応するのかお聞きする。
A 調査結果をもとに、生活環境保全上の支障の内容、改善方法を調査専門委員会で十分にご審議いただきます。
調査専門委員会の審議を踏まえて、措置命令の内容を決定します。

Q6 県として、年度内に措置命令を出すことを考えているようだが、廃棄物の放置が住民の健康に被害を与える恐れがあることを考えると、できるだけ早く調査結果を公表し、措置命令を出すべきだと考える。そこで、このことについて、知事の考えをお聞きする。
A 処分場に関して、支障の内容や改善方法を明らかにするために徹底した調査を行う必要があります。
調査にはそれ相当の期間が必要となりますが、調査結果は機会あるごとに原告等住民の皆さんに丁寧に説明を行っていきます。
住民の皆さんが日常的に使用されている井戸水については、これまでのモニタリングを強化し、飲用に適しているかどうかの検査を毎月行います。
モニタリングの結果は随時お知らせし、原告住民の方の安全・安心の確保に引き続き努めます。